【医師が解説】テニスにおけるカフェインの効果【エビデンスあり】

小児科医てつろーです。
みなさん、運動する際にカフェインを摂っていますか?
実は、カフェインには運動機能を向上させる強いエビデンスがあります。
オーストラリア国立スポーツ科学センターでは、サプリメントをエビデンスレベル別にグループA~Dにクラス分けしています。カフェインはこの中で、最もエビデンスの強いグループAに所属します。
この記事では、テニスプレーヤーに向けたカフェインの活用法について解説します。

この記事を読むとわかること
  • カフェインがなぜスポーツに有利に働くのか?
  • カフェインをいつ、どのくらい摂ればいいのか?
  • カフェインを摂る際の注意点は?
目次

カフェインとは?

カフェインは、さまざまな植物の葉や豆、果物などに含まれる物質です。
最も一般的に含まれるのはコーヒーですが、ほかにお茶、コーラ、エナジードリンク、チョコレート、サプリメントなどにも含まれています。

カフェインの効果って?

カフェインには、以下の効果があることが知られています。

●筋持久力の向上
●瞬発力(筋力、運動速度)の向上
●全力疾走、ジャンプ力の向上
●投球パフォーマンスの向上
●集中力、反射神経の向上
●疲労感の軽減

テニスにおいては、以下のような報告があります。

走行速度の向上、サーブの得点率の増加、疲労感の軽減

カフェインはいつ、どのくらい摂ればいいの?

カフェインの摂取量

多くの研究で、カフェインは3-6mg/kg程度の摂取で効果があると言われています(2)。
体重50kgなら150mg-300mg、体重70kgなら210mg-420mgの摂取となります。

およそコーヒー1杯、またはエナジードリンク1本程度の摂取量でよいことがわかります。

安全な摂取量…カナダ保健省より(4)
一般成人(妊婦を除く)…400mg/日
妊婦…300mg/日
小児…2.5mg/kg/日

カフェインの摂取タイミング

2021年のシステマティックレビュー(多くの研究をまとめた報告)では、運動の60分前にカフェインを摂取するのが最も効果があると報告されています(3)。

コーヒー1杯またはエナジードリンク1杯を、運動の60分前に摂取すると良い!

カフェインの副作用は?

カフェインの過剰摂取は、様々な副作用をもたらします。
具体的には、9mg/kgのカフェインは副作用の発生率の増加につながります(3)。
これは、約コーヒー3杯、エナジードリンク3本ほどの量に相当します。

カフェイン中毒の主な症状

・不安、興奮
・落ち着きのなさ
・不眠症
・胃腸障害
・不整脈

副作用の中でも、特に重篤なものが不整脈です。
カフェインの過剰摂取により、心室細動という不整脈を引き起こし死亡した例もあります(5)。

まとめ

カフェインは、3-6mg/kg/日の範囲の摂取では、瞬発系競技・持久系競技ともにパフォーマンスの向上が期待できます。
具体的には、運動の60分前にコーヒー1杯、またはエナジードリンク1本程度のカフェインを摂るのが最も効果と安全性の面で優れていると思われます。

しかし、過剰摂取は最悪の場合命を脅かす恐れもあるため、1日当たりコーヒー3杯、エナジードリンク3本程度までにとどめておくのが安全です。

・カフェインは瞬発系・持久系のどちらの競技にもいい効果が期待できる
・運動の60分前にコーヒー1杯またはエナジードリンク1本程度のカフェインを摂るとよさそう
・コーヒー3杯、エナジードリンク3本以上の摂取は過剰摂取であり、最悪の場合生命の危険あり

備考:カフェインの食品含有量って?

以下に、主な食品および飲料に含まれるカフェインの量を示します。

食品および飲料カフェイン濃度1回摂取量備考(作成法など)
コーヒー(抽出液)60mg/100ml150mg/250mlコーヒー粉末10g+お湯150ml
モンスターエナジー40mg/100ml142mg/355ml缶
レッドブル32mg/100ml80mg/250ml缶
インスタントコーヒー32mg/100ml80mg/250ml粉末2gを使用
紅茶30mg/100ml75mg/250ml茶葉5g、熱湯360ml、1.5~4分
緑茶20mg/100ml50mg/250ml缶茶葉 10g、熱湯430ml、1分
コカ・コーラ10mg/100ml35mg/350ml缶
ダークチョコレート10-50mg/60g
参考文献:オーストラリア国立スポーツ科学センター ; https://www.ais.gov.au/nutrition/supplements/group_a#caffeine
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html

参考文献

  1. Sergio L Jiménez et al. Caffeinated Drinks and Physical Performance in Sport: A Systematic Review. Nutrients. 2021 Aug 25;13(9):2944.
  2. Jingyi Shannon Chia et al. Effects of Caffeine Supplementation on Performance in Ball Games. Sports Med 2017 Dec;47(12):2453-2471.
  3. Nanci S Guest et al. International society of sports nutrition position stand: caffeine and exercise performance. J Int Soc Sports Nutr 2021 Jan 2;18(1)
  4. Daniele Wikoff et al. Systematic review of the potential adverse effects of caffeine consumption in healthy adults, pregnant women, adolescents, and children. Food Chem Toxicol 2017 Nov;109(Pt 1):585-648.
  5. Simone Cappelletti et al. Caffeine-Related Deaths: Manner of Deaths and Categories at Risk. Nutrients. 2018 May; 10(5): 611
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この記事を書いた人

20代医師です。社会人テニスプレーヤーとして、草トーナメントに参加しています。
「大会未経験の社会人テニスプレーヤーが、大会に参加して1勝を目指す」をコンセプトに、テニスを楽しむ方々を応援するブログを運営しています。

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