【医師が解説】テニス選手が摂るべき三大栄養素とは【エビデンスあり】

小児科医てつろーです。
日頃トレーニングに励んでいるみなさん、普段食事について気にしていますか?
身体づくりは食事が8割と言われています。
食事を意識しないと普段のトレーニングの成果は十分に発揮されません。
そこで今回は、普段の食事において意識するべきポイントを解説します。

目次

身体づくりは食事が8割

みなさん、普段トレーニング(筋トレなど)を週何回行っていますか?
多くて週3、4回程度ではないでしょうか。

一方で、食事は1日3回、週21回です。
単純に1週間あたりの回数を考えても、食事の影響の方が圧倒的に大きいですよね。

食事と筋トレの比較

タンパク質:体重あたり1.5g以上を目安

食事の中でも、タンパク質をしっかり摂るのが一番重要です。具体的には体重×2gが目安です。
最近の研究では、1.2g〜1.6g/kg/日のタンパク質でも良いという報告もあります(1)-(2)。

2008年に、44人の14-18歳の男性テニスプレーヤーの食事を検証したところ、1日あたりのタンパク質摂取量は以下の通りでした。

参考文献:J Sports Sci. 2008 Sep;26(11):1209-17

実際には、特にタンパク質を摂ることを意識していないと体重×1g摂れているかどうかです。
病院食が平均して1食あたりタンパク質15~25g、大体の成人男性にとって体重×1gになる計算です。

病院食(引用:フリー素材.com)

みなさん、普段の食事で上のような病院食よりもタンパク質を摂れていますか?
おそらく、自信のない方が多いと思います。

正直、タンパク質を体重×2g摂るには食事だけではキビシイです。
そこで、タンパク質を摂取するためにトレーニーやアスリートが愛用しているのがプロテインです。

コンビニで売ってるもので1パック 15-20g、粉で売ってるもので1食20-30g程度のタンパク質が摂れます。

脂質:体重×2gを超えない

次に脂質です。
テニスのプレー中に主に消費されるエネルギーは炭水化物ですが、特に試合やトレーニングの継続時間が長くなると脂質もエネルギー源となります。

1日2時間以上の持久系トレーニングを行うために必要な脂質の貯蔵量を確保するためには、体重あたり2g/kgと言われています(3)。ただし、これはプロのアスリートを想定した数値のため、一般の社会人テニスプレーヤーはより少ない脂質量で十分と考えられます。
筋肉をつけつつ脂肪をつけないことを目指すために、脂質は体重×2gを超えないことが目標と言えるでしょう。

2008年の男性テニスプレーヤーを対象とした調査では、70%の選手が1日あたりの総エネルギーの30%以上を脂質から摂取しています(4)。
これも、2g/kgという基準と同じく、社会人テニスプレーヤーと比べて高めに設定されています。

正直、揚げ物や炒め物を食べたら軽くこの基準は超えてしまいます。コンビニ弁当で、脂質15gを超えないものは案外少ないです。外食のときには1食あたり脂質15g以内を意識してみるくらいから始めてみるのがといいと思います。

炭水化物:

高炭水化物食は、筋肉のグリコーゲンへの貯蔵を増加させ(5)、持久系パフォーマンスを向上させます(6)。
逆に、低炭水化物ダイエット(総エネルギー量の15%未満)は、テニスにおける高強度の運動と持久系パフォーマンスを損なう可能性があることも知られています。

トップレベルのテニス選手は、習慣的に6-10g/kg/dayの高炭水化物食を摂取する必要があると言われています(7)。
これは一般的にはかなり多い量です。しかし、上記の研究ではテニス選手の32%は消費カロリーが摂取カロリーを上回っていると報告されています。

参考文献:J Sports Sci. 2008 Sep;26(11):1209-17

まとめ

身体づくりは食事が8割です。
下の表はあくまでプロ級のテニス選手を基にしたものですが、重要なのは以下の点です。

●タンパク質、糖質をしっかり摂る
●脂質はなるべく抑える

栄養素摂取量体重50kgの場合体重70kgの場合
タンパク質1.5g/kg/day以上75g/日以上105g/日以上
脂質2g/kg/day未満100g/日未満140g/日未満
糖質6-10g/kg/day300-500g/日420-700g/日

トレーニングの質や量は簡単に増やせなくても、食事は意識ひとつで簡単に変えられます。
食事内容を意識して、よりよい身体づくりを目指しましょう!

参考文献

  1. Ranchordas MK et al. Nutrition for tennis: practical recommendations. J Sports Sci Med. 2013 Jun 1;12(2):211-24.
  2. Trent Stellingwerff et al. Nutrition for power sports: middle-distance running, track cycling, rowing, canoeing/kayaking, and swimming, J Sports Sci. 2011;29 Suppl 1:S79-89.
  3. Claudia R Juzwiak et al. Body composition and nutritional profile of male adolescent tennis players. J Sports Sci. 2008 Sep;26(11):1209-17
  4. J Bergström et al. Diet, muscle glycogen and physical performance. Acta Physiol Scand Oct-Nov 1967;71(2):140-50
  5. Mark Hargreaves et al. Pre-exercise carbohydrate and fat ingestion: effects on metabolism and performance. J Sports Sci 2004 Jan;22(1):31-8
  6. Mayur K. Ranchordas et al. Nutrition for Tennis: Practical Recommendations. J Sports Sci Med. 2013 Jun 1;12(2):211-24.
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この記事を書いた人

20代医師です。社会人テニスプレーヤーとして、草トーナメントに参加しています。
「大会未経験の社会人テニスプレーヤーが、大会に参加して1勝を目指す」をコンセプトに、テニスを楽しむ方々を応援するブログを運営しています。

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